Mandala(マンダラ)とは、サンスクリット語で<真髄・本質を得る>こと、すなわち仏の最高の悟りの本質を得ることを意味します。そして、密教が説く抽象的な観念を心に思い描くために、それを視覚的に表したマンダラ(=曼荼羅)が作られるようになりました。インドでの曼荼羅は、立体の壇に仏像を安置したり描いたりするもので、修法が終わると壊していましたが、中国や日本では絹や紙に描いた絵画が主流となり、密教の根本原理を図解する両界(りょうがい)曼荼羅をはじめ、さまざまな修法に合わせて個別の仏の世界を描いた別尊(べっそん)曼荼羅が制作されました。
中国から仏教を学んだ日本で、曼荼羅の語は<仏の信仰世界を示す絵画>の意味をさらに広げてゆきます。諸尊の関係性を幾何学的に構成した密教の曼荼羅にはじまり、ほとけが住む浄土の様子を描いた浄土図は浄土曼荼羅、また神仏習合の思想に基づいて表された礼拝画は垂迹(すいじゃく)曼荼羅とよばれています。
「曼荼羅展-宇宙は神仏で充満する!」では、根津美術館が所蔵する日本の仏画コレクションより選りすぐった、密教曼荼羅や尊像画、浄土曼荼羅、垂迹曼荼羅の優品約40件(うち重要文化財7件、重要美術品5件)を展示いたします。
「大日如来像」(重要文化財 平安時代 12世紀)と「愛染曼荼羅」(重要文化財 鎌倉時代 13世紀)は、近年行われた本格的修理後、初めての公開となります。また、この機会に館蔵の密教絵画を網羅した刊行物を出版いたします。
金剛界八十一尊曼荼羅、兜率天曼荼羅、春日宮曼荼羅など当館が誇る曼荼羅の名品から、聖観音、如意輪観音、不動明王の尊像画まで、崇高で力強い仏画の世界をお楽しみください。
◇ 講演会2 「曼荼羅のこころとかたち-装飾文様に込められた意味-」
日時 8月24日(土)14:00-15:30
講師 中村幸真氏 種智院大学 教授
◇ 講演会3 「日本の曼荼羅-仏と神が織り成す宇宙-」
日時 8月31日(土)14:00-15:30
講師 白原由起子 根津美術館 学芸部課長
※会場はいずれも根津美術館 講堂 定員140名
<申し込み方法>
往復はがきに参加を希望される講演会名(「講演会2」または「講演会3」)と住所・氏名(返信面にも)・電話番号を明記の上、〒107-0062 東京都港区南青山6-5-1 根津美術館「曼荼羅展」講演会係 宛にお申込みください。
講演会2は8月10日(土)、講演会3は8月17日(土)締切(当日消印有効)
※参加希望者1名につき1枚の往復はがきでお申し込みください。
◇ 「曼荼羅展」ギャラリートーク
日時 8月2日(金)、8月23日(金)いずれも午後1時30分より約60分間
※午後1時よりホールにて整理券を配布します。
※当日先着30名様に限らせていただきます。
講演会、ギャラリートークとも参加は無料ですが、入館料をお支払いください。