■た行のことわざ
●立って居るものは仏でも使う
起き上がるのが億劫で面倒なときには、目下の者はもとより、それが目上の人や親であっても、立っている者にはつい用事を頼みたくなる。
●他人の念仏で極楽参り
「他人のふんどしで相撲をとる」と同じく、人の物を使って自分の義理やつとめを果そうとするずるいやり方。
●長者の万灯より貪者の一灯
物の多少より真心の有無を高く評価する喩え、たとえわずかなものでも心のこもった物のほうが、量や金目のある物より尊い。
●泥中の蓮
汚れた境遇の中で育っても、泥の中の蓮のように美しさを保つことができる意。
●寺から出れば坊主
疑われて当り前のしぐさ。寺の中から出てくる者はみんな坊さんか、その仲間と思われても仕方ない。
●寺の隣に鬼がすむ
人生はあざなえる縄のごとく、吉凶が交互に訪れる。ちょうど慈悲深い仏さまのそばに非情な鬼が住むようなもので、苦楽交々。
●出る息入る息を待たず
人のいのちのはかなさ。呼吸する一瞬の間に死は訪れる。
●天上天下唯我独尊
天地の間に生れ出た一個のわれのいのちほど、他に同一のものなく、これほど尊いものはない。釈尊誕生の際の一声。人々みな然り。
●灯心で須弥山を引き寄せる
とても出来ないこと、力の及ばない大それたことの喩え。
■な行のことわざ
●何事も因縁
世の中のことはすべて前世からの因縁のつながりにより左右される。
●生物識り地獄へ堕(お)ちる
生半可な知識の者は、下手に学問して仏法をかじり、かえってその悪口を言ったりして堕獄の罪に苦しみやすい。
●女房鉄砲仏法
世の中は、女房と鉄砲と仏法の三つで、平和が保てるとする考え。家庭と防犯と教化の必要性を「三ぼう」で説いたわけである。
■は行のことわざ
●坊主憎けりや袈裟まで憎い
坊主に袈裟はつきものだが、その人が憎いあまりに、着けている袈裟まで憎らしく思うことから、相手憎さに罪もない持物にまで当りちらす様子をいう。「罪を憎んで人を憎まず」の反対。
●仏作って魂入れず
「画竜点晴を欠く」と同じ。せっかく仏像を刻んでも、いわゆるお性根を入れなくては、単なる木片に変らないこと。物事をするにも、形だけではダメ、心をこめて行うことが大事という戒め。
●仏の顔も三度
どんなに柔和でおだやかな性格の人でも、二度三度とたびたび迷惑をかければ怒り出す。我慢にも限度ありということ。
■ま行のことわざ
●磨く地蔵の鼻を欠く
よいことをしようとして、かえって悪い結果を招くこと。お地蔵さまを磨こうとして、うっかりその鼻を欠くごとき取返しのつかぬことをしでかした失敗譚から。
●無用の用
世間で一見役立たずと思われているものが、意外に大きな、目に見えぬ働きをしている場合がある。
●門前の小僧習わぬ経を読む
の門前に住んでいると、子どもでも自然に毎日聞えてくる読経の音に感化されて、それを習い覚えるようになる。転じて子どもは環境の影響を受けやすいこと。「朱に交われば赤くなる」も類句。
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