■各宗派別仏前(仏式)結婚式
●天台宗結婚式
天台宗の結婚式は「天台宗法式作法集」「天台常用法儀集」によると、次のように構成されている。(1)所役 ①唄師、②散華師、③影向衆、④会行事、⑤承仕口 (2)衣体 戒師は、第一の律衣、第二の抱裳、納袈裟、中啓、数珠、第三の素絹、五条、切袴と略したものの、いずれかを用いる。(3)式場 仏前には紅白重ね御鏡餅、密担は密供とし担上に御酒具両台を安置する。脇机には塗香と戒師の証明文、婚者に授与する念珠両連を用意。脇机の前で戒師に面したところに円座を設け、唄師は戒師の右方に別座を設ける。男性親族は右側、女性親族は左側で、各席に盃台と昆布台を配置。
●高野山真言宗結婚式
高野山真言宗の結婚式は、宗で定めた様式はないが「真言宗諸法会作法解説全」によると、宮本義範氏の私案がある。
●真言宗智山派結婚式
真言宗智山派の結婚式は、宗で定めた様式はないが「智山派法要便覧」によると、その式次第を灌頂の儀式に準じて定めるのがよいとして、試案を掲げるだけにとどめている。
●真言宗豊山派結婚式
真言宗豊山派の結婚式は「豊山派法則集・坤巻」によると、次のように構成されている。(1)結婚の大事は、金剛薩た(「た」は「土+垂」)の三昧に属するので、道場は理趣会曼荼羅に象り、荘厳等その趣旨にそって整える (2)道場の中央に婚壇を設け、名香、美華、華燭、塗香を荘厳、阿闍梨、新郎新婦、媒酌者、近親、親友、酌童のほかは、これに参列させてはいけない (3)新郎新婦に渡すべき記念品は、指輪あるいは念珠とする (4)阿闍梨の装束は長素絹・紋白五条・差貫とする
●臨済宗妙心寺派結婚式
臨済宗妙心寺派の結婚式は、宗で定めた様式はないが「江胡法式梵唄抄」の参考例による。
●浄土宗結婚式
浄土宗の結婚式は「浄土宗法要集」によると、次のように構成されている。 (1)仏前の荘厳は清素にし、正面に紅白の鏡餅を供え、紅燭を用い松の立華などを献ずる (2)仏前に香爐華瓶を備える (3)別に祭壇を設け両家の霊牌を安置 (4)内陣正面に導師座、外陣に高座、その前卓に洒水器などを用意し、三方に寿珠二連を備える (5)高座前に新郎新婦の席、その前の小机に香爐、硯などを備える (6)式場の外側は屏風、紅白の幕などを用いる (7)奏楽を用いるときは簾内で奏する (8)新婦は行草用の花七本を持ち着席
●浄土真宗結婚式
浄土真宗の結婚式は、真宗各派協和会の議定によって各派共通の門信徒の式を、次のように定めている。荘厳については、(1)御本尊前の上卓前卓に打敷を掛ける (2)紅白の鏡餅一対、あるいは根、菓、餅、各一台を備える (3)立花は若松の真に色花挿し交ぜ、または松一式 (4)三尊前に燈明を点じ、中尊前立燭焼香 (5)金障子は三尊前のみ開く (6)外陣正面金障子際に小卓を置き、香爐と香盒を載せる
●浄土真宗本願寺派結婚式
浄土真宗本願寺派の結婚式は、真宗各派協議会により荘厳などについては同様。
真宗大谷派結婚式
真宗大谷派の結婚式は、昭和43年3月8日の「宗務所告小第五号」に基づき、荘厳については真宗各派協議会によるものと同様に構成されている。
時宗結婚式
時宗の結婚式は「時宗法要軌範」によると、第一の要件として鳴り物に注意し、雲版・印鑿・契杓以外は用いないとして、通常法要とを区別し、次のように構成されている。(1)本尊前に供える一升二合取りの紅白の餅、新郎新婦の祖先の霊を祭る、供物はめでたい菓子菓物、生花は松竹梅 (2)洒水器に紅白の紙水引をして飾り、朱蝋、蓬莱山、または三具足、銚子盃各一対を準備 (3)新郎の年齢白餅、新婦の年齢紅餅を準備 (4)戒師の装束は荘厳衣、如法衣、司会者は布教衣、五条、他の僧侶は布教服か絞服
日蓮宗結婚式
日蓮宗の結婚式は「日蓮宗信行要典」により、構成されている。
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